QLabが好きすぎる音響エンジニアの話
- 13 時間前
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こんにちは。エンジニアの梅木です。
このブログは、音の事にちょっとだけ人より詳しくなって、音楽をより楽しんでもらう事をコンセプトにつらつらと記事を書いています。寄り道多めですがそれも楽しんで頂ければ幸いです。
QLab、好きなんですよね。

舞台や音響の現場で長く仕事をしていると、どうしても使うソフトに好みが出てきます。僕はQLab派です。今日はそんな話をしようと思います。
舞台やイベントの現場で音を再生する方法はいくつかあって、よく比較されるのがQLabとAbleton Liveです。どちらもプロの現場で使われているソフトで、それぞれに得意なことがあります。
Ableton Liveはもともと音楽制作のためのDAWです。ループ再生やリアルタイムでの音の操作がとても得意で、バンドのライブでオケを流したり、DJのような使い方をしたりと、音楽をその場でコントロールしたい場面では非常に強いソフトです。使っているアーティストやエンジニアも多く、現場でAbleton Liveのセットを持ち込むミュージシャンは珍しくありません。
一方のQLabはMac専用のソフトで、Figure 53というアメリカの会社が開発しています。もともと舞台演出のために作られたソフトなので、設計の思想がAbleton Liveとは少し違います。
QLabの基本的な仕組みは、キューと呼ばれる命令を順番に並べていく形です。「この音を再生する」「3秒後に映像を切り替える」「フェードアウトして終わる」といった指示をあらかじめ組んでおいて、本番ではボタンを押すだけで演出が進んでいきます。
この「あらかじめ組んでおく」という考え方が、舞台の現場ととても相性がいいんです。
舞台は基本的に毎回同じことを再現します。台本があって、決まったタイミングで決まった音が出て、決まった映像が流れます。アドリブで何かを変えるよりも、組んでおいたものを正確に再現することが求められる場面がほとんどです。
Ableton Liveはその場での柔軟な対応が得意な分、舞台のような厳密なキュー管理という点では少し違う思想のソフトです。どちらが優れているというわけではなくて、現場の性質に合わせて選ぶものだと思っています。
ただ、僕はQLab派なので、ここからはQLabの話を続けます。

QLabが特に優れていると感じるのは、操作の直感性です。ドラッグ&ドロップでキューを並べていくだけでひと通りの演出が組めます。音量のフェードや再生速度の変更、複数の音を同時に鳴らすといった設定も画面を見ながら感覚的に操作できます。
仕込みの時間が限られている現場でも、素早く組んで素早く確認できるのはとても助かります。
本番直前に演出が変わることも舞台ではよくある話で、「やっぱりここのSEなしで」とか「このシーンのBGMのタイミングを少し早めたい」みたいな変更が直前に入ることがあります。そういう時にQLabはサクッと対応できるので、現場でのストレスが少ないです。
音の話だけしていましたが、QLabは映像の出力にも対応しています。プロジェクターへの映像送出やLEDビジョンの制御にも使われていて、音と映像を同じソフトで一元管理できます。
さらに照明の制御まで対応しているので、小規模な舞台であればQLab一本で音・映像・照明をまとめて管理することも可能です。音響さんが照明もまとめて操作する、みたいな現場では特にこの一元管理が助かります。
ミュージカルや演劇の現場ではほぼ必ずと言っていいほど使われていて、コンサートのSEやポン出しと呼ばれる音の頭出しにも活躍します。以前ご紹介したSYNCROOMを使ったVTuberライブのような複雑な現場でも、QLabが音の司令塔になっていることが多いです。
気になる価格の話をすると、無料版でもかなりのことができます。音の再生に関しては無料版でほぼ問題なく使えるので、まず触ってみるのにちょうどいいです。
映像の出力や高度な機能を使いたい場合はライセンスの購入が必要になりますが、プロの現場で使うならそこは必要経費だと思っています。年間サブスクリプションの形になっていて、アップデートも継続的に提供されます。
一点だけ注意があって、MacOS専用なのでWindowsでは動きません。舞台音響の仕事をしている人にMacユーザーが多い理由のひとつがここにあったりします。僕もQLab のためにMacを使い続けている部分は正直あります。
舞台や演出に関わる仕事に興味がある方、音響を勉強中の方は、ぜひ一度触ってみてください。無料で始められますし、覚えておいて損のないソフトです。
触ってみたい方はお気軽にお問い合わせください。機材を持って現場に行きますよ。

